2012年12月5日水曜日

労組の既得権益、雇用問題

どこかのブログで、「解雇規制があるから日本の雇用流動性が低くなり、給与の高い高齢者が会社に残る。そのため、企業はコストミニマイズするために新卒の採用を抑える。結果、若年層の就職率が下がるのだ。その既存労働者を守っているのが労働組合だから、現在の失業率の高さや非正規雇用の増加、格差拡大の一因は労組にある」という主張を読んだ。

なるほど。もっともらしいけど、これは事実関係を取り違えているか、物事の一面しか見ていない勝手な思い込みに基づいているようだ。

そもそも、労組が組合員を守って何が悪いのか?
労組の由来が、労働者が一致団結して自分たちの労働条件の維持・向上を図るために作ったものである以上、労組が組合員を守るのは彼らの役割として極めてまっとうなこと。
もし労組が彼らの役割を踏み出して(?)、若者の雇用を確保しろ!とか企業における人の新陳代謝を活発にしろとか言い出したら、上記主張をしている人たちはきっと「労組の役割を忘れている」というに違いない。

自分が労組寄りの思考になっていることは否定しない。
それでも上記主張をする人たちっていうのは物事の一面しか見ていないわけで、労組や産別組合がなければ自らの雇用が危ぶまれている人たちっていうのは非常に多い。

労組があるから新陳代謝が損なわれているかもわからない中で、労組が既存の労働者を守ることをやめてしまったら、それこそ失業者の枠は拡大することは明らかではないか。

ある事象を解決するために、規制を撤廃する(数を減らす)ことが解決になるわけではないとゼミの先生(行政法専門)に教わったときは目から鱗だった。
結果を出すために、規制の数が増えることだってあるのだ。

とはいえ、若年層の雇用を確保する必要がないとか、企業の新陳代謝を活発にする必要がないとか、日本は今のままでいいと思っているわけでは決してない。

現状を打破するために、もっと本質を見なきゃいかんだろ、ということ。

そういえば、似たような事例がちょっと前の日経の記事にもあったような。
何の記事かは忘れてしまったけど、要点は「事実かも知れないけど、真実じゃないよね、それ」ってこと。